INFINITE VISIONS – “You Rock My World”
楽曲はミドルテンポだが、抜けのいいサウンドプロダクションやメロディがやはりティモ・トルキらしくいい。YouTubeのコメントだと「最高傑作だ」、「過去15年のワークで一番よい」とある一方で「RAINBOWの”I Surrender”と似ている」とある。確かにラストのサビの裏のギターメロディが”I Surrender”と酷似しているが、リスペクトのご愛敬ととらえるべきか。
それにしても、ようやくこの時が来た。メンバー集めて、レコーディングしているとニュースはあったものの一向に音源の公開はなかった。満を持して新曲”You Rock My World”を発表した。その発表と合わせてベースが変わったのと、クラウドファンディングが開始された。
メンバーラインナップ(最終)
ギター:ティモ・トルキ(ex-STRATOVARIUS)
ボーカル:エリック・クラメール(SIMULACRUM)
ベース:ピエール=エマニュエル・ペリソン(CIVILIZATION ONE、ex-HEAVENLY)
ドラム:パウエル・ヤロシェヴィチ(VADER、HATE、ANTIGAMA)
キーボード:ジミー・ピッツ(ETERNITY’S END、NORTHTALE)
英語のニュースサイトによると、デビューアルバムの製作の財政支援のためクラウドファンディングを開始した。それと同時に”You Rock My World”の演奏動画を公開した。この曲はダニーG(RAGE、FIREWIND)のミックスした4曲あるデモのうちの1つである。この曲はファンのためにファンのことを歌ったという。バンドの声明によると、レコーディングの準備はできており、それを実現するためにサポートしてほしいという。アルバム完成と関係費用(レコーディング、ミキシング、マスタリング、アルバムアートワークやレイアウトデザイン、アーティスト写真)には最低でも10,000ユーロ(日本円で1,245,600円、2020年11月28日のレート1ユーロ=124.56 円で換算)必要だという。ティモのクラシカルメタルな曲を待ちわびるファンは大勢いるけれども、CD売り上げはかつてとは異なり、音楽業界も大きく変化した。この変化でバンドはレーベルからの恩恵やレコーディングの予算は小さくなったという。熱望するファンを失望させない最善のアルバムを発表するために、ティモ・トルキとINFINITE VISIONSはクラウドファンディングに決めたという。バンドはこの機会にベースの交代を発表した。ピエール=エマニュエル・ペリソンは20年以上のライブ演奏やスタジオ録音の経験がある。ヤリ・カイヌライネンは個人的な事情で11月上旬にバンドを離れた。
おさらいであるが、バンド結成からMV発表まで約1年で4人のメンバーが変わった。
ボーカル:マイク・ヴェセーラ(元LOUDNESS、YNGWIE MALMSTEEN、ANIMETAL USA)
→ホルヘ・セヘルスボル(ANCESTRAL DAWN、PEGASUS)
→エリック・クラメール(SIMULACRUM)
ベース:ヤリ・カイヌライネン(ex-STRATOVARIUS)
→ピエール=エマニュエル・ペリソン(CIVILIZATION ONE、ex-HEAVENLY)
ドラム:アレックス・ホルツヴァルト(ex-RHAPSODY OF FIRE)
→パウエル・ヤロシェヴィチ(VADER、HATE、ANTIGAMA)
これまでのティモ・トルキの活躍、INFINITE VISIONSの足取りは以下の記事を参照されたい。
しれっとベースが変わっているがようやく新曲発表まで来たか。アルバム発表までもうすぐだ・・・と思いきや、ここでまさかのクラウドファンディング! 正直、日本人の感覚でいうと「ティモ・トルキほどのミュージシャンならレーベルなしの自主製作だとしても自身の資金でなんとかなるのでは? ファンからお金を集めるのはどうかと思う」と言ったところか。日本でも芸能人のクラウドファンディングで炎上しているのは、こういう思考回路からだと思われる。
西野亮廣の『新世界』という本では、クラウドファンディングとは資金調達の新しい方法だということがあった。信用がある人にはお金が集まる。かつては銀行に借金するしかなかったが、クラウドファンディングは新しい手段というわけだ。ただし、ここでキモになるのが「信用がある」人である。西野亮廣は信用とは決して有名(広く認知される)ではなく、コアなファンが必要だという。そして、信用とは「うそをつかないこと」だという。
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クラウドファンディングのことを本書で学んだ。また、彼がテレビから姿を消した理由やこれから生き抜くためには貯金ではなく信用とためることだとある。興味を持たれた方はよかったら。
ティモ・トルキと言えば、人柄は上述の参照記事のとおりである。才能のある孤高のミュージシャン気質で、どちらかと言えば常人では理解しがたい行動をとることがあった。そして、心配な点はもう1つある。彼はかつてクラウドファンディングをして、しかも途中でキャンセルをしたことがあった。
英語サイトによると、2012年の4枚目のティモ・トルキのソロアルバムをクラウドファンディングで資金調達していた。アルバムの準備をしていたときに、友人から音楽業界の変化や新しい可能性という点からクラウドファンディングを進められて始めたという。ただし、熟考した結果、キャンセルすることにした。返金手続きをする。落胆しないでほしい。2013年の第1四半期には幕が開ける。
結果的に2013年にはTIMO TOLKKI’S AVALONとしてアルバムが発表された。イタリアのレコード・レーベルであるフロンティアーズ・レコードからであった。どういう経緯でこのような形になったかわからないが、結果オーライというのはさすがに楽天家すぎるだろう。フロンティアーズ・レコードからのオファーか、フロンティアーズ・レコードに必死に売り込みにいったか。クラウドファンディングが順調に進まなかったのか。いずれにしても、応援してくれるファンから集金していたさなか具体的な説明なしの急な変更では、「信用」という点で疑いの念を抱かせる。
管理人としてはティモ・トルキのクリエイトするサウンドが好きだし、ニューバンドにも期待している。ただし、今回のクラウドファンディングについてはティモ・トルキの人柄や前例を考慮すると見送ると判断せざるを得ない。もし、ティモ・トルキを絶大に尊敬している方がいたら、クラウドファンディングで応援してほしい。
INFINITE VISIONSのデビューアルバムのクラウドファンディングサイト
2020年11月28日時点で目標金額の6%、670ユーロである。開始して5日で6%の実績で単純に比例するとしたら残り39日では52%程度で100%達成は厳しい見込みと言わらずを得ない。
2020年12月21日時点で目標金額の12%、1215ユーロである。残りは16日。。。
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