前回の記事に続いて、トヨタのハイブリッド車について考えてみる。前回は1.8Lのエンジンであったが、今回はハイブリッド車の中で一番小さい排気量である1.5Lエンジンである。
この1.5Lエンジンのハイブリッドシステムは、実は初代プリウスで搭載されたものである。つまり、トヨタが世界で初めて出したハイブリッド車のためのハイブリッドシステムである。ハイブリッドとしては第1世代から第4世代まで幅広く存在する。1997年に発売した初代プリウスから、2022年8月に新型が発表されたシエンタ(3代目)まで歴史も長い。
※世代については前回の記事を参照してほしい。
タイトル画像はヤリスのカタログである。
1.5Lハイブリッド車のデータ
データを見ていこう。
※換算については前回の記事を参照してほしい。
10・15→JC08はネット上の数値85%を採用した。
表をグラフにして、確認していこう。
第1世代(初代プリウス)から第2世代(2代目プリウス)の進化は大きい。
第2世代から第3世代の進化の度合いは小さい。
第3世代から第4世代での進化は非常に大きい。
第4世代はエンジン型式から変わっている。トヨタがダイナミックフォースエンジンと呼んでいる、TNGAシリーズのエンジンである。1NZ-FXEが直列4気筒であったのに対してM15A-FXEは直列3気筒であり、エンジン自体の軽量化も燃費に影響しているかもしれない。また電池の種類もニッケル水素からリチウムイオン電池にしていることで燃費が改善しているかもしれない。
M15A-FXEについては下記の記事は詳しいので参照してほしい。
次に、特に進化の度合いが大きい第3世代から第4世代について同一車種での比較をグラフで確認しよう。
補足であるがヴィッツは3代目で終了し、ヴィッツの海外名であるヤリスとして現在は販売されている。
ハイブリッドの世代の進化だけではなく、軽量化も図っている。これは前回の1.8Lシリーズでは見られなかった傾向である。安全装備の追加で車は新しくなるほど重くなる。しかし、安全装備分の重量増加を超える軽量化を実現しているところは画期的と言っていいだろう。
やはり大きいのはエンジン型式が変わったこと、つまりエンジンの大幅な改良だろう。
まとめ
トヨタハイブリッドシステム(THS)の中でエンジンの排気量が一番小さい1.5Lモデルは、アクア、ヤリス、シエンタなどコンパクトカーで採用されている。車は年々サイズアップの傾向が強いが、日本の道路の幅は狭いところもあり、やはり軽自動車やコンパクトカーの人気は根強い。そのコンパクトカーのためのハイブリッドともいうべき1.5Lモデルは1997年の初代プリウスから2022年の3代目シエンタまで長い期間、世代を重ねて進化してきた。
世代で言うと第1世代から第2世代、第3世代から第4世代の燃費の向上が大きい。さらに第3世代から第4世代では車の重量が減った。年々安全装備の充実で重くなるところを打ち消し、さらに軽量化できたところは第4世代の画期的なところを言えるだろう。
トヨタ、コンパクトカー、燃費を重視するなら、1.5Lのトヨタハイブリッドシステムの第4世代がよさそうだ。具体的にはヤリス(2020年~)、2代目アクア(2021年7月~)、3代目シエンタ(2022年8月~)のモデルである。
しかし、新車は半導体不足等の影響で納期が長いのがネックか。ハイブリッド車はガソリン車に比べて電装部品が多いため、使用する半導体も多くなり、その結果としてどこか1つでも半導体部品が不足すると作れなくなってしまうのだろう。
長い納期を待つだけの魅力があることは確かだ。
ヤリスとアクアは発売から時間が経過しているため中古車という手もあるだろう。
それにしても、データから1.5LのTHSの第4世代は燃費の向上や車の軽量化の点が画期的であり、トヨタはそのあたりをもっと宣伝してもよい気がするが。
以前のモデルの魅力が下がってしまうという心配でもあるのだろうか。
データ出典
現行モデル
生産終了モデル
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