元PIERROTのボーカルのキリトが率いるAngeloの10枚目のアルバム。10枚目ということで記念になるわけだが、彼らは特に意識せずに作ったという。AngeloのメインコンポーザーとなりつつあるギターのKaryuは前作が緻密で隙のないつくりになっていて、ライブで勢いやノリが物足りなさを感じた、今回はライブ重視、勢い重視で曲を作ったと話した。
アルバムはAngeloの最高傑作と言ってよいだろう。ギターのリフでアグレッシブに攻めるKaryuらしい曲に極上のバラードやキャッチーなメロのキリト曲、そして今回はKOHTA作曲によるPIERROT時代を彷彿させる曲にとギルによるAngelo史上最もポップなチューンを含む全10曲が40分に凝縮されている。最新のAngeloが最高のAngeloと誇れるのがうれしい。Angeloを知らない人にはまずこのアルバムをすすめたい。
#1 ACTIVATE RESONATE
Karyu作曲。刻むギター、リズム隊から始まるがサビで一転し、ハンドスクラップを織り交ぜて空間的なひろがりを見せる曲。サビでドラムを抜いているところも新しい。激しさの中に、ギターの音色の美しさもあり、Angeloの新しい一面が見られる。Karyuの引き出しの多さに脱帽である。
#2 CREVASSE
Karyu作曲。彼らしいギターリフが疾走していて気持ちがよい。ノリノリのままAメロに入り、サビでボーカルメロディに集中するところもよいし、ギターアルペジオがまたいかしている。
#3 残響
キリト作曲。疾走チューンで気持ちいいのだが、演奏面ではAメロの1回目と2回目で違ったり、Bメロも微妙に変えていて深みを持たせている。メインコンポーザーのKaryuが作らない曲を狙ってキリトが作っており、これがまた今までと違った味を持っていてよい。
#4 NEW CENTURY BIRTH VOICE
Karyu作曲。アグレッシブで、本作最もハードな曲。アルバム全体がキャッチーなメロディになっているので、ここで一発ぶちかましているところが、Angeloらしい。
#5 REUNION
KOHTA作曲。イントロから最後まで楽器隊がのびのびと演奏している印象を受けた。サビがどこか懐かしい、かつてのPIERROTを思い出した。歌メロディはキリトによるアレンジが入っているという。
#6 ホログラム
キリト作曲。彼の珠玉のバラードが今回も収録された! ギター2本による美しいイントロ、キリトの慟哭、ギターソロ後のサビの決めフレーズも気持ちいい。サビメロに耳が集中してしまいがちだが、その裏のギターが奏でるメロディも秀逸なのがこの曲のみそ。バラードの定番曲になるだろう。タイトルのホログラムが記憶であるという説明はしたものの、歌詞についてキリトはインタビューで多くを語らなかった。管理人的にはひと夏の失恋の歌なのかなと思っている。直接的ではなく、感情的なものを言葉で表現するのがキリトらしい。詩の断片みたいで一見分かりづらいけど、曲と一緒に聞くことでわかってもらえるような作品にしている。ラジオでもそんなことを話していた。
#7 荊棘の棘
Karyu作曲。展開が新しく、演奏的に非常に面白いナンバー。バンドの演奏・表現レベルの高さを感じる1曲だ。複雑になりすぎるとコアなファンしかついていけなくなってしまうが、絶妙なバランスでとどめているのがにくい。
#8 BREATH
ギル作曲。Angelo史上最もポップである。ラジオでキリトは「仕事で疲れたキリトがAngeloで聞きたい曲。やさしさ。愛。こういうやさしい曲が聞きたくなることもあるよね」と話している。ただし、歌詞は実は必ずしもポップではなく、現実逃避的な内容になっているところがキリトの意地悪である。アルバムの流れとしても大事な曲だろう。
#9 DEEP VISION
Karyu作曲。ギターの重厚感がすごい。それでいてボーカルメロディとぶつからないようになっており、Karyuらしい曲だ。
#10 CRUELWORLD
Karyu作曲。本アルバムのキラーチューンであり、今後のAngeloのライブの定番曲となっていくだろう。掛け声の「Oh Oh」がライブ映えするし、TAKEOのドラムの手数の多さがまたこの曲に凄みを与える。明朗なナンバーのためアルバムを聴き終わったあとの爽快感がある。歌詞が「世界は残酷だけど、あきらめなければ誰も知らない可能性を示す」というキリトらしい(本人いわく、ひねくれた遠回しの)ポジティブな内容になっている。ポジティブ全開じゃないリアルなものだからこそ多くの人に突き刺さるのではないか。これがキリトマジックらしい。
管理人のおすすめ曲
#1 ACTIVATE RESONATE、#5 REUNION、#6 ホログラム、#7 荊棘の棘、#8 BREATH、#10 CRUELWORLD
10曲中6曲も選んでいる時点でいかにこのアルバムがよいかおわかりいただけるであろう。
アルバムダイジェスト
ACTIVATE RESONATE(ライブ)
ACTIVATE RESONATE(アコースティックライブ)
インタビュー記事
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