このブログを読んでくれた方はどちらであろうか。ミュージシャンの作品を聴くときは、アルバム1枚を通してなのか、それとも1曲だけなのか。
きっかけは王者イングヴェイ・マルムスティーンのインタビュー記事より。
俺はいつも、みんなが徹底して聴いていないんじゃないかと懸念している。これはアルバムなんだから、最初から最後まで聴かれないといけないし、(以下省略)
https://realsound.jp/2021/07/post-825201.html
iTunesが出てデジタルでの売買ができるようになってから、1曲ずつ買うという概念がより一層際立ったように思える。それまでもシングルCDという形で1曲もしくは数曲ずつ購入はできたが、アルバムの中の1曲を買うということはなかった。
最近のリスナーの方は、1曲ずつをミュージシャンの作品としてとらえているのではないだろうか。
一方で、イングヴェイ・マルムスティーンやAngeloのキリトはアルバム1枚で作品と考えている。管理人もまた「アルバム紹介」という形で記事を書いているところからもおわかりだと思うが、やはりアルバム単位で作品と考えている。
それはさかのぼることレコード時代からの名残ではないかと思っている。レコードは収録時間の都合でA面、B面が存在した。A面を再生後、レコードを裏返してB面を再生した。レコードを裏返すというイベントを活かして、A面とB面で作風を変えることもしていた。それは裏返すと、レコードはやはり1つの作品として考えていて、流れを大事にしている表れではないだろうか。
コンセプトアルバムはアルバム全編を通じて聞いてほしいところだ。コンセプトアルバムではない普通のアルバムでも、そのタイミングで作ったということで1つの作品と考えたい。そのときのメンバー構成や、レコーディングした国やスタジオ、機材などアルバムを出したときのタイミングがあるはずである。先行シングルが複数枚出ていると、その意識が薄れるが。
また、AngeloのキリトはアルバムのジャケットやブックレットもこだわっているとYouTubeで話していた。アルバムをイメージするアイテムとして、やはりジャケットは外れないし、歌詞やクレジットを確認するのにブックレットも必要である。
「名盤」という言葉も、アルバム単位で言っているように思う。曲単位であれば、「名曲」であるから。名作と言ってしまえば、それで終わりそうだが、日本語では名盤や名曲とあって面白い。映画なら名画、著作なら名著。日本語とは奥ゆかしいものだ。
とはいえ、それは少し作り手の目線である気もする。管理人が好きなミュージシャンがアルバム単位にこだわっていただけなのかもしれない。こう言ってしまうと身もふたもないが、受け手の自由であるはずだ。音楽を楽しみ方を規制してはいけないようにも思う(人様に迷惑をかけない限り)。
あなたが楽しめる方法で音楽と向き合えば、それでよいのだ。
蛇足だが、ベストアルバムというのはミュージシャンの都合というよりはレコード会社などの意向が見えるのであまり好ましく思わない。ただし、そのミュージシャンを触れるための最初のアイテムとしては十分効果を発揮するため、全否定するわけではない。願わくは、ベストアルバムからミュージシャンを知ってもらい、気に入ったらそのミュージシャンのそれまでのアルバムを聴いてみてほしいものである。
2021/11/13 追記
BEAST IN BLACKのアントン・カバネンも3rdアルバム”DARK CONNECTION”のインタビューで以下のように発言していた。
「80年代を覚えているかい?メタルのアルバムを買って、ジャケットを何時間も眺めて、歌詞をじっくり読んで。ビースト・イン・ブラックが作りたいのはそういうアルバムさ」
https://www.hmv.co.jp/news/article/2109021053/
80年代のヘヴィメタルの熱狂をピュアに伝えてくれるBEAST IN BLACKは、やはり管理人のフェイバリットである。上記の発言も共感できる。
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