QUEENSRYCHE 分裂とその後

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QUEENSRYCHE(クイーンズライク、アメリカのバンド)は1988年のコンセプトアルバム”OPERATION: MINDCRIME”が傑作として有名である。1990年の”EMPIRE”で全米300万枚を売り上げ、バンドの最大の成功となった。これ以降、音楽性や内部の人間関係などバンドにとって混迷の時期となる。

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2つのQUEENSRYCHE

2012年6月、中心人物であったボーカルのジェフ・テイトの脱退が発表された。後任にCRIMSON GLORYのトッド・ラ・トゥーレが選ばれた。ジェフ・テイトの脱退の前に、ジェフ以外のメンバー(ギターのマイケル・ウィルトン、ベースのエディ・ジャクソン、ドラムのスコット・ロッケンフィールド、ギターのパーカー・ラングレン)とトッド・ラ・トゥーレがRISING WESTというバンドを組む話があった。また、バンドを支えるマネージャーやギターテックを解雇すると聞いたジェフが激怒し、メンバーに唾を吐く等の行為を働いたため、ジェフとほかのメンバーの間に軋轢が生じた。

ジェフは自身抜きでQUEENSRYCHEとして活動することの差し止めを裁判所に要請するが否認された。ジェフは元QUEENSRYCHEのメンバーだったケリー・グレイを含むメンバーを集め、別バージョンのQUEENSRYCHEを結成した。2つのQUEENSRYCHEが存在することはファンの混乱を招くとして、QUEENSRYCHE残留メンバーらがジェフのQUEENSRYCHEとして活動することの差し止めを裁判所に要請するが否認された。2013年の11月の結審まで両バンドともQUEENSRYCHEと名乗ることが許可された。

ジェフ・テイト率いるQUEENSRYCHEはメンバーチェンジがあり、活動が危ぶまれたが2013年4月に”FREQUENCY UNKNOWN”を発表した。全米70位であった。一方の残留メンバーにトッド・ラ・トゥーレを加えたQUEENSRYCHEは2013年6月にセルフタイトルアルバム”QUEENSRYCHE”を発表した。全米23位であり、ジェフ・テイト率いるQUEENSRYCHEのアルバムより成績がよかった。これは残留組のQUEENSRYCHEの所属レーベルがジェフ・テイト率いるQUEENSRYCHEの所属レーベルより大きかったことによるものと考えられる。勝敗は決したものの、チャート順位や音楽性は過去の最盛期に及んでいないのが残念である。 2013年の11月の結審でどちらのQUEENSRYCHEがQUEENSRYCHEとして認められるか、バンド名を変更しなければいけなくなった側のその後も注目であった。

2014年4月28日のニュースで、残留メンバーにQUEENSRYCHEの名前の権利があり、ジェフ・テイトはQUEENSRYCHEの名前を使えなくなった。しかし、ジェフ・テイトには”OPERATION: MINDCRIME I”と”OPERATION: MINDCRIME II”の演奏する権利がある。さて、ジェフ・テイトは今後どうするのであろうか。

分裂のその後

QUEENSRYCHEは2015年に”CONDITION HUMAN”をリリース。ドラムのスコット・ロッケンフィールドが2017年から活動休止するも、ボーカルのトッド・ラ・トゥーレがドラムをレコーディングし、2019年に”THE VERDICT”をリリースした。この”THE VERDICT”はトッド・ラ・トゥーレ加入後、そして分裂問題後の復活作にふさわしい力作だ。

QUEENSRYCHE – Blood Of The Levant

ジェフ・テイト率いるQUEENSRYCHEはOPERATION: MINDCRIMEと改名し(安直ながら一番効果的な名前)、三部作と題して2015年に”THE KEY”、2016年に”RESURRECTION”、2017年に”THE NEW REALITY”をリリースした。”THE NEW REALITY”が最後の作品と話しており、その後のリリースはない。

ジェフ・テイトは2019年にSWEET OBLIVIONへ参加し、”SWEET OBLIVION”を発表した。2021年には”RELENTLESS”を発表した。全盛期のハイトーンこそないものの、やはりジェフ・テイトの声には迫力があり、バックアップするメンバーのクオリティの高さも相まって、良質な仕上がりとなっている。

Sweet Oblivion (Geoff Tate) – “Another Change”

本家で再び訴訟問題

2021年10月17日のニュースで、QUEENSRYCHEの活動休止中のドラムのスコット・ロッケンフィールドがQUEENSRYCHEのギターのマイケル・ウィルトン、ベースのエディ・ジャクソンの2人に対して訴訟を起こしたと発表された。

スコット・ロッケンフィールドは不当に解雇されたり、本来もらえるべき賃金がもらえていなかったり、2019年の”THE VERDICT”のレコーディングに参加できたにも関わらず呼ばれなかったことなどに対しての訴訟とのこと。

ニュースでは、ボーカルのトッド・ラ・トゥーレは「スコット・ロッケンフィールドは4年前に約6ヶ月育児休暇を取ったが、その後も連絡を取らず、彼が何をしているかわからない」と話した。2017年からKAMELOTのドラムのケイシー・グリロがQUEENSRYCHEに参加しているとも報じられた。

Scott Rockenfield Files Lawsuit Against Queensryche Members
The lawsuit alleges breach of contract, breach of fiduciary duty and wrongful discharge, among other offenses.

QUEENSRYCHEの話題は尽きないようである。

名曲の紹介

最後にQUEENSRYCHEの名曲を聴いて、心穏やかに終わりたい。

Queensryche – Silent Lucidity

“EMPIRE”に収録された”Silent Lucidity”はジェフ・テイトのハイトーンを活かしたバラード。曲はとてもやさしく、聴くと穏やかな気持ちになる。


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Queensryche – Eyes Of A Stranger

“OPERATION: MINDCRIME”に収録された”Eyes Of A Stranger”は単体で聴いてもよいだけでなく、コンセプトアルバムの大事な曲である。ぜひともアルバムを聴いて、確かめてほしい。


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