無期限活動休止中のAngeloのボーカル、キリトの通算3枚目ソロアルバムである。2022年11月発売。セカンドアルバムが2007年であったので、実に15年ぶりとなる。
その15年はAngeloとして駆け抜けてきて、活動休止となりソロが再始動した。
管理人としてはPIERROTもAngeloもいいが、実はソロが一番よいのではないかと思っている。歌詞はバンド時代よりもよりストレートで共感を得やすく、サウンドもハードやヘヴィな方向というよりは曲の世界に合わせて柔軟でソフトである。
ただし、インタビュー記事を読むとキリトの中ではバンドがPIERROT→Angelo→KIRITO(今回のアルバム)となっただけと話す。実際に、このアルバムに収められている楽曲はAngeloの延長にあるサウンドであった。
全曲ともキリトの作詞・作曲。レコーディングメンバーはギター:John、ベース:MASA(NOCTURNAL BLOODLUST)、ドラム:Allen(SERENITY IN MURDER)である。
各曲の確認
1曲ずつ見ていこう。
01.テロメア
怪しいシンセから、ヘヴィな楽器隊のサウンドで始まるミドルテンポのナンバー。ボーカルのアグレッシブだ。これまでのソロの雰囲気ではなく、Angeloの延長上のサウンドである。
歌詞は細胞の時限爆弾と呼ばれるテロメアが宿主を変えて新しい生を選んだというもの。テロメアというワードはAngeloの”CIRCLE”収録の”COUNTDOWN”でも使われ、Angeloが終わり、KIRITOが始まることを意味しているようだ。
少しストーリーが優先されて楽曲に詰め込みすぎな感じもある。忙しい楽曲だ。管理人的にはアルバムの1曲目はわかりやすいストレートな疾走曲が好み。
02.ANTI-MATTER
ソロ再始動第1弾シングル。ミドルテンポでヘヴィな楽曲だけど、サビメロがキリトらしい哀愁感があってついリピートしてしまう。慟哭ともいえるこの感じがいいんだよなぁ。
ストーリーはつながらなくなっちゃうかもしれないけど、こちらが1曲目のほうがキリトらしさが伝わっていい気がする。
03.Discord
キリトの中でもっともアグレッシブなサウンドにボーカルスタイルの楽曲。50歳のこのタイミングでここまで吹っ切れるとは。
AメロとMVのメイクの感じはまさにマリリン・マンソン。Bメロはライブでの掛け合いのイメージができていいね。奇をてらうならこの曲がアルバムの1曲目もありかも。
04.BUTTERFLY IN A PHANTOM
Angeloスタイルのヘヴィなサウンドに、シャウト風のボーカル。ドラムパターンも多くて大変だ。
05.VICTIM
ザクザクギターに、”Law of evolve”と怪しいコーラスが乗るミドルテンポの曲。サビの裏のギターの高音フレーズはギルっぽいかも。この曲もAngeloスタイルだ。
06.INTO THE MIRROR
ソロ再始動第2弾シングル。アップテンポな爽快疾走チューン。少しサビで盛り上がりが落ちるのが気になるが、前2曲のヘヴィなナンバーで来ていたムードを一転してくれるアルバム中間の大事な曲だ。
07.MASTERMIND
ザクザクギターに重低音の効いたベースとドラムが重なるAngeloスタイルのミドルテンポの曲。
08.雫
キリトバラード。ピアノとボーカルのみで始まり、1回目のサビまで続く。バンドではできないスタイルだ。2回目のAメロからバンドサウンドへ。歌詞のテーマもいつのもキリトの作る世界だ。これは必聴だ。1コーラス目は耳元で歌うようなイメージで録音したようだ。
09.Storyteller
Angeloの”SIGHT”っぽい曲だ。あちらもバラードの次に配置されていた。
歌詞はAngeloの終わりで岐路に立ったキリトが、ソロのKIRITOとして進むことをつづっている。
キリトはバラードの”雫”に続く、こちらの曲のほうがグッとくると話していた。
10.RAID
ソロ再始動第3弾シングル。こういうキャッチーでアップテンポな曲がソロのイメージだった。もっと欲しい。リリックビデオは最後のほうがエヴァっぽいね。「終幕」の文字や「広がる可能性を」のあたりの青空に浮かぶ大きな満月とかね。
11.NEOSPIRAL
粒のそろったザクザクギターがヘヴィだけど、疾走感を作っている曲。重低音を際立たせているから、ヘヴィさが強い。アルバムのラストに向けての引き締める効果があるな。
12.I BLESS YOU
ラストや明るいギターメロのリフを持つ疾走曲で。Angeloのころからの十八番。ギターもベースもドラムも生き生きとしている。ライブでのイメージを形にした楽曲。英語の部分は合唱想定のようだ。タイトルは”God Bless You”を文字ったもの。あなたを祝福するのは神ではなく、俺(キリト)であり、人間であると。
まとめ
これまでのソロアルバムの流れではなく、Angeloのラストアルバム”CIRCLE”の続きである。サウンド的にも歌詞のストーリー的にも。サウンド面では重低音にこだわったようだ。トラックダウンもマスタリングもキリトが作っている。
Angeloの続編と言えるほどキリトの作りのこだわりが強そうだ。若いレコーディング兼ライブミュージシャンたちは個性よりかはキリトの考える世界観を表現することに徹している気がする。ギターは1人が録音しているが、ギタリストが思いつかないようなツインギターのフレーズをキリトが織り込んだというし。すべての統括者としてのキリトのサウンドの統一感はAngelo時代からすごいと思う。新しさという点では、キリトが楽曲の根幹は作るが、KIRITOバンドメンバーで何度も演奏して練りこんで作った楽曲が聴いてみたい。特に今のメンバーは若いし、いろいろなジャンルから来ている強豪たちなので、面白い化学反応が起きるかもしれない。
アルバムの1曲目のインパクトが弱いかも。聞けば聞くほど味が出てくるよい曲だとは思うが。
キリト一人で12曲を作っているので、製作はかなり困難を極めたと思う。次のアルバムはツアーや曲作り期間を考えると2、3年先になるかもしれない。そう思っていると「みんなができないということを実現して証明してみせてきた」と話しているキリトだから、来年の同じ時期ぐらいにアルバムを出してくるかもしれない。それを期待してしまっているところもある。次回も楽しみである。
管理人のおすすめ曲:
02.ANTI-MATTER、08.雫、10.RAID、12.I BLESS YOU
MVリンク
インタビュー記事のリンク
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