ANGRA アルバム紹介

Review
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ANGRA(アングラ)はブラジルのメロディックスピードメタルバンド。VIPERを脱退したボーカルのアンドレ・マトスが結成した。クラシックの要素も融合し、独自のサウンドに昇華している。2000年にはアンドレ・マトスとベースとドラムの3人が脱退するという危機を迎えるも、新メンバーを集めて見事に再生してみせた。なお脱退した3人はSHAMANを結成した。近年ではRHAPSODY OF FIREのボーカルのファビオ・リオーネが加入したり、ギターのキコ・ルーレイロがMEGADETHに大抜擢されて脱退したりした。

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“ANGELS CRY” (1993年)

おすすめ度:☆☆☆☆
HELLOWEENのメロディックスピードメタルにクラシックやシンフォニックの要素を融合させ、新人とは思えぬ完成度の高さを誇る衝撃のデビューアルバム。アンドレ・マトスはVIPER時代にすでに挑戦していたため、新人というのは語弊があるかもしれないが。クラシカルなイントロ#1からキラーチューン#2″Carry On”への流れでつかみはばっちり。#7は「恋のから騒ぎ」のオープニングであったケイト・ブッシュの”嵐が丘”のカバー。本作はこのジャンルの中でも屈指の名作だ。アンドレ・マトスはハイトーンでボーカルとして素晴らしいばかりか、サウンドクリエイトも素晴らしく、個人的にはいちおしの人物だった。歴史的な名作である。

“HOLY LAND” (1996年)

おすすめ度:☆☆☆
ブラジルの民族音楽も取り入れた実験的な2ndアルバム。メロディックスピードメタルでありながら、自然豊かなホーリーランドの情景が浮かぶ、音楽的にも優れた作品だ。メロスピチューンの#2、#4も健在で、とても器用なバンドである。

“FIREWORKS” (1998年)

おすすめ度:☆☆
アンドレ・マトスが脱退を表明している中、製作された3rdアルバム。ライナーノーツには一切記載がなかったから当時はそんなこと知らなかったが。正統派メタルを意識した作風で、これが賛否両論を呼んだ。曲のクオリティは決して低くないものの、1stアルバムのサウンドを求めてしまうと悲しくなる。ただし#3の”Lisbon”はバンド史上屈指の名バラードである。

“REBIRTH” (2001年)

おすすめ度:☆☆☆☆
アンドレ・マトスだけでなく、ベースのルイス・マリウッティ、ドラムのリカルド・コンフェッソーリが脱退し、新しくボーカルのエドゥ・ファラスキ、ベースのフェリペ・アンドレオーリ、ドラムのアキレス・プリースターを迎えて製作した4thアルバム。アルバムタイトルにふさわしい見事に再生してみせた。#1イントロからキラーチューンの#2″Nova Era”でガッツポーズ。バラードの#5もいいね。#9の疾走曲がかっこいい。1stアルバムの再来をかなり意識した曲作り、アルバム構成であるのがよくわかる。エドゥ・ファラスキのハイトーンボイスもすばらしい。

“TEMPLE OF SHADOWS” (2004年)

おすすめ度:☆☆☆☆
バンド初のコンセプトアルバムとなった5thアルバム。ストーリーもさることながら、とにかく収録楽曲のクオリティが高く、名作だ。#1イントロからの#2メロスピチューンでいつものいい流れのまま、技巧派リフのプログレ的な#3、バラード#5、GAMMA RAYのカイ・ハンセンの「ラーイナウ!」が聴けるメロスピチューンの#6と、1曲ずつつらつらと説明したくなる良曲ばかりなのだ。

“AURORA CONSURGENS” (2006年)

おすすめ度:☆☆
エドゥ・ファラスキの声が低くなった。メロスピチューンは#2ぐらいか。民族音楽要素も減り、普通のメタルという印象だ。後半にスローテンポの曲が多いのもマイナスである。だが、演奏力はあるし、よく作りこまれている。

“Carry On” from 1st album “ANGELS CRY”

アンドレ・マトスは2019年6月8日に心臓発作で47歳で亡くなった。管理人がメロディックスピードメタルにのめりこんでいったのは、彼がいたからだ。VIPERもANGRAも、そしてその後のVIRGOやSHAMAN、自身の名を冠したバンドANDRE MATOSも、スーパーバンドのSYMFONIAも聞いた。そんな彼の訃報を聞いて、身体の一部を失ったような感覚だ。

そこからようやく重い筆を執り、彼の魅力を伝えていけたらと思う。

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