メタル・ゴッドと称されるドイツのJUDAS PRIESTの傑作であり、そしてヘヴィメタルのかくあるべきという金字塔を打ち建てた“PAINKILLER”が1990年9月3日(英語版wikipediaより)に発表されてから30年が経過した。30年経過してもなお、このアルバムの狂気、スリリングなサウンド、絶妙なギターリフは色あせることがない。多くのヘヴィメタルのバンドがこのアルバムを教科書として勉強し、作品を生み出してきたことか。正統派メタルの不朽の名作である。
正統派メタルの紹介はこちら。
#1 “Painkiller”
タイトルチューン。本作から加入したドラムのスコット・トラヴィス(元RACER X)の激しいドラムソロから始まる。畳みかけるギターリフに、ロブ・ハルフォードの高音のシャウトでノックアウトだ。6分間の音による怒涛の攻撃で「これがヘヴィメタルだ」と示す。馴染みのない人には受け入れがたいかもしれないが、繰り返し聞いて病みつきになったら、もうヘヴィメタルのとりこである。第1ソロがグレン・ティプトン、終わり際の第2ソロがK・K・ダウニングである。終わりの「PAIN!!!」もかっこいい。
#2 “Hell Patrol”
2曲目も激しい演奏から始まり、聞くものの気を休めさせてくれない。この曲でノれないヘヴィメタルファンはいないだろう。ギターリフもボーカルメロディも気持ちいい。
#3 “All Guns Blazing”
ロブ・ハルフォードのアカペラから始まる、アップチューン。掛け声がライブ映えする。中間のギターソロからの展開がまたかっこいい。随所にギターソロが入っていて、ギターキッズにも受けそうだ。
#4 “Leather Rebel”
スリリングなギターリフから始まり、ずっとハイテンションなドラム。ヘッドバンキングしたくなる曲だ。曲名の「革の反逆者」というのが彼らのファッションと重なる。
#5 “Metal Meltdown”
限界ギリギリという印象のギターソロから始まる「金属融解」という危機的状況の曲。その名の通り、緊迫感がすごい。ラストの「Metal Meltdown」の掛け声がやばさを助長する。
#6 “Night Crawler”
神秘的なシンセサイザーの音から、雷鳴のSE、ギターアルペジオになり、そしてリズミカルなギターリフで始まる。サビの裏のギターリフかっこいいな。アルバムの中では軽快なナンバーで、聞きやすいほうではないだろうか。
#7 “Between The Hammer & The Anvil”
シンプルなギターリフが逆に意外でよい。サビのメロディがめっちゃいい。「金槌と金床の間」って刀を鍛えるときに金床において、金槌でたたくことだと思うが、まさにヘヴィメタルだ。ロブ・ハルフォードのサビの発音もかっこいい。ライトハンドタッピングのソロも曲にあっていてよし。
#8 “A Touch Of Evil”
ミドルテンポで、重厚感のある曲。シングルになっており、タイトルチューンの”Painkiller”と対をなしている。哀愁漂うギターソロも聞きどころのひとつだ。
#9 “Battle Hymn”
短いインスト。
#10 “One Shot At Glory”
ギャロップのギターリフで、リズミカルなナンバー。ギターソロがとても長いが、メロディアスなのでつい聞き入ってしまう。
どの曲もボーカル、ギター、ドラムがかっこいい。ギターリフの宝庫で、どこから聞いても楽しめる。ベースは目立たないが、ヘヴィメタルのベースはかくあるべきなのだ。曲名さえかっこよくて、バンド名にしたいくらいだ。JUDAS PRIESTのファンだとすぐに見抜かれてしまうが。恐れ多いのか、そんなバンドは現れていない気がする。
バラードなしの、これほどアグレッシブでメタル然としたアルバムは後にも先にもこの1枚だろう。もう死語しれないが、「墓場まで持っていきたい1枚」である。CDからデジタルストリーミングになっていく時代ではCDとして所有することが廃れていくのかもしれないが、このアルバムはやはり物質として所有したいものだ。
最後に、彼らのPVを。
“Painkiller”
“A Touch Of Evil”
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