メタル脳 天才は残酷な音楽を好む を読んで

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メタル脳 天才は残酷な音楽を好む

中野 信子 著

メタルが好きな人たちの中で話題になっていたので、遅ればせながら拝見した。著者は医学博士の中野信子氏。先生からまさかメタルという言葉が出てくるとは想像できなかった。どうして取り上げようと思ったのか、そしてメタルの社会的意義まで綴っているのが本書である。

 

第1章 わたしを救ってくれたメタル

著者がメタルと出会ったのは中1のころ。周りに馴染めずにいたときに聞いたメタルにはまっていく。

 

メタルが自己評価の低下を食い止めたとも話す。自己評価が下がると悪い影響があるという研究結果がある。例えば、自分はだめな人間だと思っていると、だめな人間になってしまう。

それを止めたのがメタル。メタルが好きであることで他人との自分を切り離し、安心を得ることで自己評価の低下を防いだという。

 

メタルはルサンチマンでもあるという。ルサンチマンは弱者が強者に恨みや怒りの感情を抱くこと。それが著者の家族問題と重なり共感したと思われる。

 

管理人も思春期のときにメタルと出会って、なんとなく周りと壁を作っていた気がする。それによって救われていたと思うと、メタルに感謝である。

 

 

第2章 メタルが真の強い「個」を育む

ここから少し硬い話になっていく。

幸せホルモン・オキシトシンの受容体は人が育つ環境要因などで決まる。愛情を持って育てられた子は受容体の密度が高くなる。そうすると「自分は人から愛されるべきだ」という安心感を抱き、外交的・社交的な人物になるという。

その一方で孤独を感じて育つと受容体の密度があまり高くない。ほかに依存する「回避型」「不安定型」「混乱型」「未解決型」となる。

「回避型」がメタル好き。人間関係に慎重。でも心を開くと深い結び付き。メタルファンがライブ会場で安心を抱くのはこのためだという。

「不安定型」はヴィジュアル系好きが多いと思われる。自分が愛されていないと不安で「会いに来てくれないと死ぬ」と叫ぶ。

「混乱型」は「回避型」と「不安定型」の両方の性質を示す。メタルファンで王道メタルを聴くが、ヴィジュアル系も聴く人が当てはまる。これって管理人のことではないか!

「未解決型」は状態が未分化で今後どの状態にもなりうるとのこと。

 

メタルは変化に消極的だという。ほかのジャンルでは新境地開拓でも、メタルでは裏切った、日和ったと言われてしまう。

バンドとファンの結び付きがあるのに、バンドが変化することで、裏切られたと感じる。それほどまでに深い結びつきだという。

この点もすごくわかる気がする。

 

第3章 モーツァルトよりメタリカを聴く

ここでは衝撃の一文「メタルを聴くと頭がよくなるかもしれない」がある。

理屈は以下のとおりである。成績優秀者は不安に思う傾向が強い。「たまたまだった」「次は悪いかも」とネガティブに考えてしまう。そこでメタルを聴くと「みんな不安で、自分だけではない」と思うことができ、不安感を抑制できるという。事実、医師は手術中にロックやメタルを聴く。その割合49%という。上の理屈と同じで、不安感を和らげているのだと推測している。ここから著者は、メタルは役に立つのだと説明している。

 

メタルファンの独自の愛情表現として、自分の好きなバンドをからかうことがある。

メタルミュージシャンのおバカなエピソード集が発売されているのもその例。管理人もイングヴェイの驚き発言を「こんな変なこという人がいるんだよ」って、話したことあるかも。管理人はイングヴェイ大好きである。

 

声を大にしていいたい「浮気しない相手なら断然メタラー!」自分たちが応援しないとだめなんだよね、というのがメタルファンの心理。応援に対するインセンティブはほとんどない。海外のメタルバンドは通路に出てファンと握手するし、一緒にタバコを吸う。ファンとの距離が近い、地下アイドルやヴィジュアル系とは異なる。メタルには「あわよくば感」がない。

その裏付けとして、浮気サイトで好きな音楽を聴くと1位はジャズで19%、メタルは最下位で2%という結果がある。

交際や結婚をするならメタル好きの人がいいかもないと筆者はいう。

 

メタルファンの皆さん、この情報を積極的に出していこう! これでモテる! なんて言っていると同じメタルファンから反感を買いそう。そもそもメタルファンの一途な言動、姿勢を見てもらって、それに気づいてくれる運命の人に出会えるのを願いたいものだ。

 

 

第4章 メタルは世界の欺瞞を見抜く


最後は政治、世界に目を向けていく。

きれいごとをいう人たちに対して、メタルファンは嫌悪感を示すのではないか。本質に踏み込んでいくメタルこそ、必要ではないか。欺瞞に満ちた社会に対して、暴力に頼らず音楽の力で強烈な一撃をくらわすこと、これがメタルの存在意義だと著者は記す。

 


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詳細はぜひとも本書を手にとって読んでほしい。そのきっかけになれば幸いである。メタルあるあるが多く、筆者のメタルへの傾倒に脱帽である。メタル好きであることに自信が持てる。日常生活ではなかなか声を大にして言えないが、Metal is foreverである。

 

Primal Fear
– Metal Is Forever

 

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