ドイツのベテラン様式美メタルギタリストのAXEL RUDI PELL(アクセル・ルディ・ペル)の2026年3月26日発売のスタジオ・アルバム”GHOST TOWN”である。
1970~80年代の様式美メタルを、最新のサウンドプロダクションで送り出している。それはヘヴィメタルが細分化した今ではとても貴重で、非常に尊い存在である。その魅力と全曲の聴きどころをたっぷりと紹介していく。
本国ドイツのナショナルチャートでは6位を記録。一桁常連という圧倒的な人気ぶり。ぜひ日本でも。
アルバムジャケットが美麗
アクセル・ルディ・ペルといえば、毎作品を彩るファンタジックで美しいアートワークもお馴染みの楽しみの一つだ。
今作のジャケットも、「廃墟」のタイトルの通り荒涼とした世界観や神秘的な雰囲気が見事に描かれており、思わず手に取ってじっくり眺めたくなるほど美麗である。
インタビュー
今作のリリースに伴うインタビューにおいて、アクセルは本作のコンセプトや制作姿勢について語っている。
ギターを弾くことや新曲を書くことへの情熱、ジョニーにはアクセルと一緒にしてきた中で最高傑作だという話があったこと、アクセルの愛する70~80年代のサウンドをバンドメンバー全員と共有していること、U.D.O.のウドとのコラボは40年以上の付き合いでありデモの時点で初期ACCEPTのようなリフであったため彼にデモを送って快諾してくれた経緯などだ。
「自分たちの音楽の根幹にある70〜80年代のクラシック・メタルの魂を、今の最高のサウンドで届けることが重要だ」という旨の発言からもわかる通り、時代に流されず己の美学を貫き通す彼の確固たる強い意志と、本作にかける情熱が伝わってくる内容だ。
本作は新しい試みを入れるのではなく、経験によって磨き上げた作品のようだ。アクセルは、尊敬するリッチー・ブラックモアから「君は素晴らしいギタリストだし、曲の中には本当に良いものもあるよ。全部ではないけれどね」と言われたことも明かしている。率直な評価だと感じ、それが様式美メタルを今でも研鑽し続ける彼の姿勢につながっているようだ。

曲紹介
01. The Regicide (Intro)
アルバムの幕を開ける短いSE。緊迫感と期待感を高めてくれる。
02. Guillotine Walk
MVとなった本曲は、アグレッシブなギターリフで始まりアルバムのオープニングとしてつかみばっちり。アクセルの真骨頂ともいえる哀愁を帯びたリフとキャッチーなボーカルラインで、一気に引き込まれる。
03. Breaking Seals
U.D.O.のウド・ダークシュナイダー(Udo Dirkschneider)がゲスト参加している注目曲。ウドの強烈なボーカルが存在感を放ち、アルバムに力強いアグレッシブさをもたらしている。シンプルでミドルテンポながら重厚なギターリフもかっこいい。
04. Ghost Town
アルバムのタイトルチューン。哀愁漂うメロディとほどよい疾走感が見事に合致した、彼らの真骨頂とも言える楽曲だ。アクセルのギターソロもノリノリでとても気持ちがいい。
05. Holy Water
クラシックなハードロックのフィーリングが色濃く出たナンバー。フックのあるサビと伸びやかなヴォーカルが印象に残る。イントロ終わりからAメロまでベースがブリブリしていてかっこいい。
06. The Enemy Within
静かなイントロで始まる。スローで重厚なリフと迫真の歌唱が心地よい。アルバムの中盤のアクセントとして効果的に配置されている。
07. Hurricane
タイトルの通り、疾走感を持って駆け抜けるエネルギッシュなトラック。ストレートなメタルサウンドが爽快だ。
08. Sanity
ミドルテンポで進行する、じっくりと盛り上がる叙情的なナンバー。重厚なリフと耳に残るフックの効いたサビメロディの対比が素晴らしい。構築美がしっかりと感じられる仕上がりだ。インタビューではレコード会社やアクセルのガールフレンドが絶対にシングルにすべきと推したそう。
09. Towards The Shore
波打ち際のSEから始まる。切なさを感じさせる抒情的なフレーズが耳に残るバラード。じっくりと聴かせる味わい深さがある。アクセルはバラードの名手でもある。
10. Steps Of Stone
管理人が最もお気に入りのナンバー。サビメロが一度聴いたら忘れられないほどメロディアス。彼のメロディメーカーとしての魅力がここにある。
11. Higher Call
アルバム最長(7分)を誇るラストのプログレッシブ・エピローグ。静かなイントロから徐々に重厚で壮大なサウンドスケープへと展開していく。オーケストレーションやプログラミング、そしてアクセルによる圧巻のギターソロが組み合わさっているのでよい。一方で、10分近い超大作もなく締めくくられる点は、少し物足りなさを感じる部分かもしれない。
管理人のおすすめ:
02. Guillotine Walk、10. Steps Of Stone
全体
本作でもまったくブレることなく様式美メタルが貫かれており、そのうえで全体的に5分台でコンパクトにまとめられて、非常に聴きやすいアルバムに仕上がっている。インタビューでは過去に楽曲に詰め込み過ぎたこともあり今は楽曲に必要なものは何かを最優先していると語っていた。
1曲目の短いSE以外のインスト曲がないのが意外で少し残念な点や、彼のトレードマーク的な10分近い超大作もなく「もう少しほしい」と感じる部分もある。
往年のメタルファンはもちろん、ヘヴィメタルが初めてという人にも聴いてほしい良作だ。
MV紹介
アルバムのつかみとして完璧な役割を果たしている”Guillotine Walk”のMV。楽曲の持つ緊張感と美学が映像でも存分に表現されている。
重厚なギターリフと哀愁のボーカルライン、ドラマチックなナンバーの”Sanity”はリリックビデオで。
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