2025年、ヘヴィメタル・シーンは歴史の大きな転換点に立ち会うこととなった。長年シーンを牽引してきた巨星たちが次々と活動に幕を下ろし、あるいは星となって旅立ち、一方で未来を担う新たな体制が産声を上げた1年。本記事では、2025年のメタル・ワールドを揺るがした主要なトピックスを振り返る。
1. 「帝王」と「伝説」の旅立ち:オジー・オズボーンとブラック・サバスの終止符
今年の最も大きく、そして最も悲劇的なニュースは、「メタルの帝王」オジー・オズボーン(OZZY OSBOURNE)の逝去だ。長年の闘病生活を送りながらも、常に音楽への情熱を燃やし続けたオジーの訃報に、全世界のファンとミュージシャンが深い哀悼の意を捧げた。
その死を予感していたかのように、2月には地元バーミンガムでBlack Sabbathの「真の最終公演」が開催された。オジー、トニー・アイオミ、ギーザー・バトラー、そしてビル・ワード。オリジナルメンバー4人が同じステージに揃い、ヘヴィメタル誕生の地で打ち鳴らした最後の鐘の音は、ロック史に刻まれる完全な幕引きとなった。
2. 時代を創ったギタリストたちの死:ジョン・サイクスとエース・フレーリー
2025年は、独創的なギターヒーローたちとの別れも重なった。 1月、衝撃的なニュースとして飛び込んできたのがジョン・サイクスの逝去である。Blue MurderやWhitesnakeで見せた、鋭くも哀愁漂うトーンは唯一無二であった。
また10月には、KISSのオリジナル・ギタリストとして知られるエース・フレーリーが74歳で亡くなった。スタジオでの転倒事故による入院から、一時回復が待たれた末の悲報であった。彼らの奏でたフレーズは、これからも数多のギタリストの指先に生き続けることだろう。
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3. レジェンドたちの「引退」と「終焉」の足音
ベテラン勢の動向にも大きな節目が訪れた。 Whitesnakeのデイヴィッド・カヴァデールは、11月に正式な引退を表明。体調面の問題を抱えながらも、最後まで「白蛇」としての誇りを失わなかった彼の決断に、ファンは惜しみない称賛を送った。
さらに、Megadethのデイヴ・ムステインも、2026年の最終アルバムとそれに続く引退ツアーを発表した。デュピュイトラン拘縮など健康問題を抱えながらも、スラッシュ・メタル四天王の一角として走り続けてきた彼のラスト・スパートが、いよいよ始まろうとしている。
4. ANGRAとAldious:活動休止とその先の景色
日伯の両シーンにおいても、劇的な変化が見られた。 ブラジルの至宝ANGRAは、8月からサバティカル(活動休止)期間へと突入した。11月には、13年間フロントマンを務めたファビオ・リオーネの脱退と、新ボーカルにアリリオ・ネット(元Shaman)の加入を発表。同時に、2026年にはエドゥ・ファラスキら黄金期メンバーによる『Rebirth』期のリユニオンも予告されるなど、休止中も目が離せない展開となっている。
日本のガールズメタル・シーンを牽引してきたAldiousは、8月の東名阪ラストツアーをもって無期限活動休止に入った。しかし、メンバーの歩みは止まらない。ベースのサワは新バンド「First Contact」へ、ギターのトキは元LOVEBITESのmihoらと共に新バンド「Zilqy(ジルキー)」を始動させた。悲しみを超えて、彼女たちは新たな音楽の形を提示し始めている。
5. 歌姫たちの交代劇:Arch EnemyとBattle Beast
モダン・メタルシーンでは、看板ボーカリストの交代という衝撃が走った。 Arch Enemyからは、11年間フロントを務めたアリッサ・ホワイト=グラズが脱退。次世代メタルのアイコンであった彼女の離脱は、バンドに未知の変革を促すだろう。
また、フィンランドのBattle Beastは、10月に快作『Steelbound』をリリースした直後の12月、不動のディーヴァであったノーラ・ロウヒモの脱退と、新ボーカルのマリーナ・ラ・トラーカの加入を電撃発表した。新旧交代の激しい波は、確実にシーンの勢力図を書き換えつつある。
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6. 希望の再会:さいたまスーパーアリーナ「LOUD PARK 25」
混沌としたニュースが続いた中で、日本のメタルファンに最高の光を届けたのが「LOUD PARK 25」の開催だ。2年ぶりに聖地・さいたまスーパーアリーナへ帰還したこのフェスには、Parkway DriveやBullet For My Valentineといった強者たちが集結。メタルの火が絶えるどころか、より激しく燃え盛っていることを証明してみせた。
結びに代えて:継承されるメタルの魂
2025年は、多くの「終わり」を突きつけられた年であった。しかし、レジェンドたちが去った後には、必ず新しい息吹が芽生えている。 Black Sabbathが半世紀以上前に撒いた種は、いまや世界中で多様な進化を遂げ、若い世代へと受け継がれている。去りゆく英雄たちに最大限の敬意を表しつつ、2026年以降に訪れるであろう「新時代」の幕開けを、我々は誇りを持って見守っていくべきである。

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