このブログで応援してきたTIMO TOLKKI’S INFINITE VISIONSが2021年1月7日に解散を発表した。理由はクラウドファンディングで目標金額に到達しなかったからである。詳細と感想を記す。
バンドの公式発表(和訳)
不幸にも、INFINITE VISIONSはクラウドファンディングの目標を達成できなかったため、アルバムは完成することはなく、バンドも続けられない。クラウドファンディングの56名の寄付者には感謝したい。あなたたちのサポートをありがたく思う。「全か無か」のキャンペーンのため、寄付金はサイトを通じて返金される。
ファンへのお別れのあいさつとして、INFINITE VISIONSは5曲のデモを発表する。中には未発表の2曲”Dangerous”と”Voice Of Tomorrow” (Erik Kraemer pre-production vocal demo)も含まれる。ボーナストラックも含まれる。ジミー・ピッツによる”Dangerous”のキーボードデモ、パウエル・ヤロシェヴィチによる”Voice Of Tomorrow”のミックス前のドラムトラック。下記のリンクから見られる。
1月の終わりまで音源を下記でも聞ける。
ギターのティモ・トルキは「現在ソロアルバムとして発表することを計画している。おそらく、エリーゼ・リード(AMARANTHE)、シャロン・デン・アデル(WITHIN TEMPTATION)、ラッセル・アレン(SYMPHONY X)、ロブ・ロック(IMPELLITTERI)らがボーカルとして参加する。アルバムは来秋に発表し、ワールドツアーを行う」と話している。
INFINITE VISIONSの残っているメンバーは新しいまだ命名されていないバンドになる。Nils Courbaron(SIRENIA, THINK OF A NEW KIND)とDani G(LAST DAYS OF EDEN, DARKSUN)の二人のギターが加わった。Daniは第2ボーカルも兼ねる。ボーカル:エリック・クラメール(SIMULACRUM)、ベース:ピエール=エマニュエル・ペリソン(CIVILIZATION ONE、ex-HEAVENLY)、ドラム:パウエル・ヤロシェヴィチ(VADER、HATE、ANTIGAMA)、キーボード:ジミー・ピッツ(ETERNITY’S END、NORTHTALE)を入れてバンドのラインナップは完成した。バンドサウンドは広く音楽的なバックグラウンドを持つメンバーの混合物となるだろう。ヘヴィメタル、パワーメタル、プログレッシブメタルからデスメタルまで幅広く多岐にわたって。追加情報は後ほど。
この件について思うこと
STRATOVARIUSの中心人物であったティモ・トルキがバンド活動を再開する可能性がなくなったことは非常に残念である。ただし、クラウドファンディングというファンに訴えかけてこの結果ということはファンからバンド活動を求められていないということもでき、ティモ・トルキにとっては厳しい現実を突きつけられた形だ。これに対してティモ・トルキは著名なボーカルを迎えたソロアルバムとして発表する計画を話したが、レコード会社から「バンドとしてはダメだが、TIMO TOLKKI’S AVALONのようなオペラプロジェクトならいいよ」と言われていたのだろうか。だとすれば、クラウドファンディング失敗はレコード会社の想定の通りと言えるだろう。
ティモ・トルキのメンツのために言うとすれば、昨今のコロナの影響は少なからずあると考えられる。収入が減った人が多い中でどれだけの方がティモ・トルキのバンド活動のためにお金を出そうとするだろうか。自分自身の生活維持で手一杯ではなからろうか。またお金の余裕があるとしても将来に備えて貯金をしたり、クラウドファンディングをするとしても医療等のエッセンシャルワーカーへの寄付よりもティモ・トルキのバンド活動への寄付が勝るのは非常に難しかったのではないか。この点については時期が悪かったといってもよいのではないか。ただし、コロナ以前にクラウドファンディングをやっていたら成功したかは不明であるが。
失敗の原因について考えてみたい。以前の記事でも書いたがクラウドファンディングは、信頼をお金に変換するシステムである。ティモ・トルキは難しい性格をしていることがファンの間では知られていて(孤高のアーティスト故の魅力的なサウンドをクリエイトできるのかもしれないが)、言動が一般大衆に理解されないことが少なくなかった。そういった点でクラウドファンディング向きではなかったのではないか。
もう一つ。なぜバンド活動をクラウドファンディングでやりたかったのか、背景やストーリーが見えなかったのもファンの理解を得られなかったのではないか。上記で推測しているが、バンドをやりたいがレコード会社から商売として成り立たない反対されて始めたのだとしたら、ファンに訴えかけるには弱い。たとえば、ダミアン浜田陛下がさくら “シエル” 伊舎堂という逸材を見つけてボーカルとしてデビューさせたいからDamian Hamada’s Creaturesを立ち上げたようなストーリーとか。INFINITE VISIONSはメンバーが流動的過ぎてそんな要素は全く感じられなかったが。あとは西野亮廣の絵本”えんとつ町のプペル”のようなお金の都合で今までできなかったことをするような。ファンやひいては一般の人にも「おっ」と言わせるバックグラウンドがあればクラウドファンディングの結果も変わったかもしれない。
あとは公開された楽曲。キャッチーで良質なメタルサウンドであることは間違いないのだが、STRATOVARIUSで生み出してきたような名曲を再び作れていたら結果は違ったのかもしれない。
クラウドファンディングの結果を受けてどうしていくか、ティモ・トルキの今後の動向に注目したい。
コメント
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