長く時間の取れるであろう年末年始の休みに聴きたいハードロック・ヘヴィメタルの演奏時間が10分前後の曲を選んでみた。
10分前後の曲というと聴き手も相当覚悟しないとなかなか手を出しづらい。忙しい現代人には10分前後の時間を捻出するのも困難かもしれないから。
一方で、バンド(作り手)も相当な覚悟で曲を作ったはずだ。冗長で10分では誰にも相手にされないから。作曲センス、演奏技術など持てるすべての力をすべて発揮する必要がある。
そんなバンドの熱い思いのこもった楽曲を作品の年代順に紹介する。
LED ZEPPELIN – “Achilles Last Stand”
1976年の7thアルバム”PRESENCE”の1曲目に収録された。アルバムの先頭に10分越えの曲を持ってくるほどの自信。それに応える名曲。邦題は「アキレス最後の戦い」である。
怪しげなアルペジオから、疾走する激しい展開へ発展する。ドラムのフィルの速さや途中のスネア滅多打ちからも曲の激しさが伝わってくる。ギターソロは昨今のような速弾きではないが、泣きにも通じる味のあるメロがいい。ラストに畳みかけるように曲が展開し、また最初の怪しげなアルペジオに戻って終わる。
彼らの10分前後の曲では”Kashmir”もおすすめ。シンプルなリフだが、独特の雰囲気で他を圧倒する孤高の名曲である。
RAINBOW – “Stargazer”
1976年の2ndアルバム”Rising”の5曲目に収録された。コージー・パウエルの激しいドラムソロで始まるところは有名だ。リッチー・ブラックモアの哀愁ただようギターソロ、ロニー・ジェイムス・ディオの歌唱力と歌メロ。才能あふれる3人が激突して作り上げた名曲だ。
HELLOWEEN – “Keeper of the Seven Keys”
日本では本作(第2章)と前作(第1章)で人気に火が付いた。その最後を締めくくる大事な曲。シンセに頼ることなくバンドサウンドのみで13分越えの演奏時間を聴き手に飽きさせることなく聞かせるのがすごい。展開のつながりがとても自然なのもいい。「disease, disease, disease my friend」のところは鳥肌が立った。
彼らの10分前後の曲では”Halloween”や派生バンドのGAMMA RAYの”Heading For Tomorrow”も名曲なので興味が湧いたら確認してほしい。
X – “Rose Of Pain”
今のX JAPANがX時代に発表した曲。1989年の2ndアルバム”BLUE BLOOD”の11曲目に収録された。
バッハのフーガ ト短調のフレーズを織り交ぜ、惨劇をバラの目線で歌っている。クラシックの美しさとヘヴィメタルの激しさが共存する実にXらしい曲となっていて、のちの有名なバラード曲しか知らない方にはぜひとも聞いてほしい。
7:49~TAIJIのベースのタッピングソロが聴ける。ひとつの見せ場である。
この作品の1年前に出たHELLOWEENの「守護神伝」の影響を受けているのではないかと管理人は思う。
30分弱の”Art Of Life”という曲もある。中間のピアノパートがYOSHIKIの苦悩を表しているのだと思うが、やや長く感じてしまった。アレンジするメンバーにTAIJIがいたらこの曲の印象が変わっていたかもしれない。
STRATOVARIUS – “Visions (Southern Cross)”
1997年の6thアルバム”VISIONS”の10曲目(ラスト)に収録された。名盤の特に後半の流れがよく、そこからこの曲に流れ込むところで感動がある。
ボーカルのティモ・コティペルトの声が細いという意見はあるが、バンドメンバーの演奏技術は高く、ティモ・トルキの作曲センスと相まってケミストリーがここにある。管理人はティモ・コティペルトが好きなので楽曲のクオリティを組み合わせは最高である。
彼らの10分前後の曲ではDestiny”や”Infinite”や”Elements”など良曲が多いので、確認してほしい。
以上、5選いかがだっただろうか。長い曲に興味を持ってもらえたり、ヘヴィメタルが大変な長い曲に挑戦し、名曲を残していることを知ってもらえたら幸いである。ヘヴィメタルが見た目や激しさだけではない、音楽的にも深い世界であることが伝わったらうれしい。
この記事が2021年のラストになりそうなので。良いお年を。
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