記事のTOP画像が2019年の東京モーターショーでのレッドブル・ホンダF1マシンの展示である。
2022/1/6更新。NHK「30年ぶりの栄冠! ホンダF1 最後の戦い」を見た感想を記事の最下部に追加。
2021/12/13更新! 祝 マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)の2021年F1ワールドチャンピオン獲得! 記事の内容を第20戦終了時点から最終戦終了後に変更。
ホンダF1 第4期成績
音楽以外の記事になるが、日本から唯一の自動車世界最高峰フォーミュラワン(F1)に参戦している自動車メーカーのホンダが2021年のドライバーとチームのワールドチャンピオンに手が届きそうで、期待を込めて第4期のこれまでの歩みを振り返りたい。
第4期とはホンダF1参戦の4回目を意味する。第1期は1964年~1968年、第2期は1983年~1992年、第3期は2000年~2008年、そして今回の第4期は2015年~2021年(今季限りでF1撤退を表明している)である。
年 | コンストラクター | ドライバー |
2015 | マクラーレン | フェルナンド・アロンソ ジェンソン・バトン |
2016 | マクラーレン | フェルナンド・アロンソ ジェンソン・バトン |
2017 | マクラーレン | フェルナンド・アロンソ ストフェル・バンドーン |
2018 | トロロッソ | ピエール・ガスリー ブレンドン・ハートレイ |
2019 | レッドブル | マックス・フェルスタッペン ピエール・ガスリー |
2019 | トロロッソ | ダニール・クビアト アレクサンダー・アルボン |
2020 | レッドブル | マックス・フェルスタッペン アレクサンダー・アルボン |
2020 | アルファタウリ | ダニール・クビアト ピエール・ガスリー |
2021 | レッドブル | マックス・フェルスタッペン セルジオ・ペレス |
2021 | アルファタウリ | ピエール・ガスリー 角田裕毅 |
年 | レース最高位 | 年間ドライバーズランキング最高位 | 年間コンストラクターズランキング最高位 |
2015 | 5位(1回) | 16位(バトン) | 9位 |
2016 | 5位(2回) | 10位(アロンソ) | 6位 |
2017 | 6位(2回) | 15位(アロンソ) | 9位 |
2018 | 4位(1回) | 15位(ガスリー) | 9位 |
2019 | 1位(3回) | 3位(フェルスタッペン) | 3位(レッドブル) |
2020 | 1位(3回) | 3位(フェルスタッペン) | 2位(レッドブル) |
2021 | 1位(10回) | 1位(フェルスタッペン) | 2位(レッドブル) |
第4期の成績を見ると、7年ぶりに復帰した2015年は厳しいものであった。10チーム中9位。ホンダがエンジン(実際にはエンジンにエネルギー回生システムを組み込んだものでパワーユニットという呼び方が一般的)、マクラーレンが車体製造やチーム運営をした。「マクラーレン・ホンダ」と言えば、ホンダF1の第2期の1988年に全16戦15勝の圧勝を記録した伝説である。当時はアイルトン・セナ、アラン・プロストという名ドライバーが乗り、2015年はやはりフェルナンド・アロンソとジェンソン・バトンという名ドライバーが乗った。そのチームがレースで優勝はおろか、表彰台にも乗れなかった。ホンダに対するバッシングがすごかった。
そこから2017年末でマクラーレンと袂を分かち、2018年からはイタリアのトロロッソと組む。トロロッソはレッドブルの姉妹チーム。そこでホンダはポテンシャルを発揮し、2019年からはレッドブルにもパワーユニットを供給することとなった。
2019年にはホンダF1第4期の初優勝を飾った。チームも3位になった。2020年はチームが2位になった。
そして、2021年。ホンダF1第4期ラストイヤー。全22戦中20戦が終了した時点で、10回の優勝、年間ドライバーズランキング最高位:1位(フェルスタッペン)、年間コンストラクターズランキング:2位(レッドブル)である。残すところあと2レース。ドライバーズもコンストラクターズもチャンピオンを狙える位置につけている。ぜひともチャンピオンを獲得してほしい。
12/5 サウジアラビアGP 決勝
12/12 アブダビGP 決勝
ホンダF1第2期は日本のバブル時代で、地上波でレースが放送されていた。第3期も地上波でレースが放送されていた。たしか2012年から衛星放送に切り替わった。F1の公式YouTubeチャンネルでは、フリー走行や予選、決勝のハイライトを公開しており、そちらで内容は確認できる。
テレビの特集情報
2022/1/6追記。 NHK BS1スペシャル「30年ぶりの栄冠! ホンダF1 最後の戦い」を見て。2021年のホンダの躍進には、以下の3つで構成されていた。
・新骨格エンジンの投入(高速燃焼とシリンダーブロックの鋳造→削り出しによる強化)
・ローンチ改善(過去のスタート失敗はエンジン回転数が落ちてアンチストールが働いていた。レッドブルと協業で対策を実施)
・新バッテリーの投入(電気効率が高く、それは最強と言われるメルセデスのパワーユニットを上回るほどとなった)
惜しみなくすべての技術を注いで勝利をつかんだ。新バッテリー技術は今後の電動化でも役立つだろう。シリンダーブロックが従来、鋳造で行われるのは時間が早く歩留まりがよい(削って捨てられる部分が少ない)からだろう。それをアルミの直方体からV6型のシリンダーブロックを削り出すという、究極の一品ものの世界。コスト度外視の必殺技だ。
再放送が1/9(日)14:00~予定されているようだ。興味のある方はぜひ。
関連書籍
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F1速報のホンダF1特集。2018年からの勢いがビジュアルでよくわかる。
NHKの特集番組を加筆して1冊の本にしたもの。特集番組と合わせて読むとわかりやすい。
マクラーレンと決別し、トロ・ロッソと組むに至った裏側の駆け引きややり取りがここに記されている!
技術者・エンジニアから見たホンダF1。変わった人材が世にないものを作り出して大きくなったホンダ。大きくなって普通の会社のようになっていくことへ警鐘を鳴らす。変わった人材のマネジメントの必要性。そして、危機を乗り越える力とは。日本の技術者に送る書籍になっている。
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