ついに発表されたトヨタのクラウンスポーツと新型カローラクロス。クラウンスポーツ、クラウンセダンは16代目のクラウンの4車種のうちの2つで、すでに発売されているクロスオーバーに続いて2、3車種目の新型車発売である。残り1車種はエステートがあるが、2023年度内の発表予定だ。
カローラクロスは、正式にはマイナーチェンジである。しかし、トヨタハイブリッドシステム(THS)が第4世代から第5世代へと変わる、大幅な改良が施された。
それぞれ燃費データを見ていこう。
クラウンスポーツ、クラウンセダンデータ(2.5L ハイブリッド)
まずはクラウンスポーツ、クラウンセダンのデータを表にしてみよう。同じ2.5Lエンジンのハイブリッド車で比較する。
クラウンクロスオーバーと比べて車両が重い分もあり、燃費が落ちている。その低下量は重量の影響以上であると考えられ、おそらく車の名前の通り「スポーツ」チューニングされていることを示唆している。
余談だが、クラウンクロスオーバーの2.4Lターボハイブリッド(デュアルブーストハイブリッド)やクラウンスポーツPHEVのほうがシステムの出力もトルクも大きく、よりスポーツ走行に向いていそうだ。
クラウンセダンは少し毛色が違う。重くなった分、燃費が悪くなっている。マルチステージハイブリッドを2.5Lハイブリッドでは初採用となっている。今までレクサスやクラウンのエグゼクティブの3.5Lハイブリッドでは搭載されていた。今回のクラウンセダンはそういった高級路線であることがうかがえる。
表のクラウンセダンの電池種類に誤りがあり、正しい「リチウムイオン」に修正した。クラウンスポーツ、クラウンクロスオーバーはニッケル水素でもアクアで初採用した「バイポーラ型ニッケル水素電池」であり、従来の約2倍の出力が出るもの。つまり、スポーツチューニングと言えそうだ。クラウンセダンは先代のクラウンと同じリチウムイオン電池で、燃費やトータルバランスのよい選択と言えそうだ。
次に車重と燃費の関係をプロットしたグラフで見てみよう。
THSの第3世代に比べて、クラウンスポーツ、クラウンセダンを含む第4世代はどの車重においても燃費がよい。線形で見ると、第3世代より第4世代のほうが傾きがきつく、車重が増えると燃費が悪化しやすい傾向がある。
次に同一車種での車重と燃費を見ていこう。
クラウンは14代目、15代目、16代目(クロスオーバーとスポーツとセダン)を表示している。参考でカムリとアルファードも載せている。
驚くべきは、クラウンセダンを除くクロスオーバーとスポーツで車重が増えているにも関わらず、燃費が向上している点だ。ほかの車種は車重が同じか、軽量方向(先代がE-Fourと今回が2WDで比較しているのもあるが)で、燃費が向上している。
クロスオーバーが燃費重視、スポーツが走り重視(燃費控えめ)、セダンは高級路線と言ったところか。燃費控えめと言いながら、トヨタの2.5Lハイブリッドの中でというだけであり、他社と比べて優位があることに変わりはない。
カローラクロスデータ(1.8L ハイブリッド)
次はカローラクロスのデータを見てみよう。同じ1.8Lのエンジンのハイブリッド車と比較する。
ほかのカローラシリーズに続き、ハイブリッドシステムが第5世代になった。グラフにして詳しく見ていこう。
第3世代と比べて、第4世代は車重が軽いところでは優位であったが、車重が重いところでは線形で予測すると劣る可能性があった。第3世代と比べて、第5世代ではすべてが勝る。線形で言えば、燃費がより方向に平行移動したようなデータを示している。
今回の新型カローラクロスは第5世代の中でも線形から下側に離れた位置にある。第5世代で一番重いヴォクシーが線形の線上にあることを思うと、もっと燃費は改善できるが、何らかの理由でそこまでしなかった。もしくはできなかったのかもしれない。例えば、カローラクロスはコスパがよいことでも知られている。最低価格を下げるために、燃費向上アイテムを犠牲にした可能性もあるだろう。
同一車種で見ていこう。カローラクロスは第4世代から第5世代になって、車重が増えて、燃費を向上させた。普通は車重が増えると燃費が落ちることは、1つ前のグラフの線形からもわかる。その点、ハイブリッドシステムが第5世代になった燃費向上分が車重増加による燃費悪化分を上回るところはさすがトヨタと言ったところだろう。
まとめ
クラウンスポーツ、クラウンセダン、新型カローラクロスについてデータから燃費性能を確認した。
クラウンスポーツは走り、クラウンセダンは高級路線であることがデータやクラウンクロスオーバーと比べて見えてきた。ただし、2.5Lハイブリッドシステムでの比較であり、2.4LターボハイブリッドやPHEV、FCEVを除いている。
新型カローラクロスは第5世代の車種で比較すると車重と燃費の関係で、ほかの車種よりも劣っていることが見えてきた。それは価格などの制約によるものと考えられる。ただし、前の第4世代のカローラクロスと比べると車重が増えたにも関わらず、燃費は向上しており、この辺はさすがトヨタのハイブリッド車だろう。
出典
現行モデル
生産終了モデル
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